正義のヒーローになりたいサイコパスと、主人公気質のある親友について
小学生の頃、あるサイコパスは正義のヒーローになりたかった。
そのためなら、自分のことなど些末なことだと思い、
自分の遊びたい欲は無駄なことで、読書や通常の勉強の他日本国憲法を模写したり、生徒会長になったりと、とにかく役に立つ人間になるために自らを捧げようと考えていた。そのように生きていると、誇りは高かったが、生きているのがとても辛くなぜこんなにも辛いのか理解できず、この世に産んだ親に対して怨嗟を募らしていた。
そんな中サイコパスの思いついた正義の貫き方の構想の一つに、
『人の遺伝子を操作して、一切の辛さや悲しみの感情を起こさないような人たちをどこかの小さな島で統治して、その人たちのために自分の辛い人生をを捧げて生きていきたい』
というものに行きついた。
世界中の一回でも死にたいと思った人達もその島に集めたいとも考えていた。
いくら周りの国から人間の尊厳を損じていると非難されようとも
そもそも望まずにこの世に生を受けたのだからせめて楽しく生きる方が正しいと信じてやまなかった。
ある日、サイコパスは当時、イケメンでみんなから好かれていて、主人公気質のある親友に
「悲しみという感情を今後一切感じなくできるとしたら、どう思う?」と尋ねたことがあった。
ある晴れた日の帰り道のことだった。
春の陽気で、放課後の空気がなまぬるく、どこか甘ったるいにおいがそこかしこから漂っていた。
親友は答えた。
「悲しみも僕も感情の一つだから、とても大切なものでなくすとかはしたくない」
と。
その答えを聞いてサイコパスは、称賛の言葉を告げ、心から絶望した。
それから、十年後。
主人公は順当に周りの人の支えもあり、楽しく青春を過ごし良い大学を卒業した。
順当に教師になったが、その後本当にこの仕事についてこのまま人生を送っていいのか、初めてこの順当な生活について悩みを抱えるようになっていた。
サイコパスは、自分の才能のなさに絶望し、また人のために捧げるほど自分の人生に価値がないことに気づきようやく、自分のために生きることを覚えた。
自分の身を捧げて勉強していたこともあり、最秀とはいえないまでも、そこそこ良い大学に入り、そこそこ良い会社に就職した。
今はその会社の居心地の良さに飽き、自分の力で生きていくために起業の準備をしている。
自分のために生きていることだけで幸せを感じる。
この後、この二人がどうなるかは、誰も知らない。
----------------------------------------------------
こんなことを下記記事を読んで思いました。